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ノンネームシートとは?徹底解説

2021.12.09

ノンネームとはいったいどのようなものなのか
~ノンネームの取扱いは細心の注意が必要~


皆さんノンネームシートをご覧いただいたことはありますか?
M&Aを検討する上で、譲受企業が一番最初に検討する情報となります。
具体的には、①業種②エリア③事業の特徴④業績財務情報⑤従業員数⑥譲渡理由⑦譲渡価格や条件⑧その他の情報が一般的に掲載されています。ノンネームシートで重要なことは譲渡企業の匿名情報であるということです。
なぜ、ノンネームシートは匿名情報なのでしょうか?
それは譲渡企業の情報を保護しなければならないからです。会社を譲渡するという情報は従業員、取引先には一般的に非公開であり、場合によっては親族の方にも知らされていないケースがほとんどです。譲渡企業が、事業運営を続ける上で、「会社を譲渡する」という情報は信用不安に繋がる可能性があります。M&Aの取引は常に機密情報が多く存在します。ノンネームシートの提案後、より踏み込んだ検討を行うために企業概要書、いわゆるIMの提案(開示)を受けます。IM開示の前提として、譲渡企業のオーナー(M&Aの依頼主)の開示許可が必要となります。また、IM開示を受けるためには、秘密保持契約が必要となります。秘密保持契約とは譲渡企業様の詳細情報の開示を受け、その内容を第三者に公表しない(漏らさない)ことの宣誓です。第三者に情報を漏らすことは守秘義務契約に違反し、訴訟問題にも発展するため、情報の取扱いには細心の注意が必要です。


ノンネームシートで着目するポイントとは


ノンネームシートはM&Aの一番初めの初期情報に過ぎません。しかし、ノンネームシートの極めて限定的な情報の中で、譲受企業は自社が求める企業であるかを一次的に判断する必要があります。したがって、ノンネームシートを見る前に、事前に譲受企業は絶対に譲れない条件を設定する必要があります。例えば、建設業の譲受企業がM&Aを検討しており、かつ同業で事業拡大を検討している際に、飲食業やアパレル関係の業種の企業を検討する必要はありません。
一方、ノンネームシートで営業赤字の企業があります。この場合、そもそも利益率を確保できていない企業は検討しないとあっさり見送ってしまうと思わぬ機会損失になる場合もあります。例えば、過大に役員報酬を収受されているケースがその代表です。粗利2億円、販管費2億1千万円とすると営業利益は▲1千万円。しかし、販管費には退任される社長の役員報酬が含まれており、その役員報酬の金額が5千万円であった場合、実態的な営業利益は黒字と考えることもできます。したがって、ノンネームシートの限られた情報ではありますが、営業赤字、経常赤字、当期赤字ということだけで、案件を判断することは禁物です。
また、ノンネームシートの重要項目の一つにエリアがあげられます。業種内容が良くてもエリアについて正しく理解する必要があります。特に新規事業でM&Aを検討されている譲受企業においては、エリアが重要な検討材料となる場合があります。
初期的な判断材料としては、譲渡理由の確認も必要です。譲渡理由で後継者不在とよく目にするかと思いますが、実際、譲渡企業のオーナーの年齢を確認すると50代など、少し若い場合もあります。このような場合、実際の譲渡理由が後継者不在ではなく、事業の行き詰まりなど、実際は他の理由であるケースも多く、確認が必要です。
その他、注目すべき項目として、債務超過かそうでないか、借入金がいくらあるのかをノンネームシートの検討段階で確認することは有効です。特に債務超過である場合、返済が進まず、借入金が膨れ上がっていることも多いので、注意が必要です。


ノンネームシートは凝縮した情報


ノンネームシートは、譲渡企業にとっては有力な譲受企業への最初のメッセージになります。したがって、必ずセールスポイントがあります。例えば、許認可の保有、従業員の年齢層、専門技術、ビジネスの独自性など内容は多岐にわたります。一つ一つの情報を精査し、見落とさないことがこの段階では重要です。
また、ちょっとしたポイントに繋がりますが、ノンネームシートの更新日を確認することも必要です。例えば、ノンネームシートの更新日が1年以上前の場合、ノンネームシートで譲受企業の募集を始めて1年以上が経つということになります。つまり、M&Aのマッチングに苦労している案件であるとも言えます。マッチングに苦労しているということは、それなりの理由があります。ノンネームシートが提示されて、提案を受けた際は、更新日の確認をお勧めします。
ノンネームシートはアドバイザーからの初期の提案資料となります。したがって、ノンネームシートに掲載されている情報だけでなく、補足して説明を受けるケースも多くあると思います。必ず、掲載されている情報だけでなく、補足情報についても漏らさず検討することをお勧め致します。


このコラムの執筆者
三谷 博孝

三谷 博孝

M&Aコンサルティング事業部
チーフマネジャー

銀行にて法人営業に従事した後、事業承継の課題に取り組むためM&Aを志し、当社に入社。「クライアントに寄り添い、企業繁栄に奉仕する」をモットーに、中堅中小企業へ向けた譲渡案件の受託交渉から、企業価値評価、企業概要書の作成、買手企業とのマッチング及び条件交渉等のM&Aアドバイザー業務を担当。年間5件以上の成約を手掛ける。

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  • 自動車部品卸業の譲受側M&Aアドバイザリー
  • 菓子製造業会社の譲渡側M&Aアドバイザリー
  • 地場建設業の譲渡側・譲受側のM&Aアドバイザリー
  • 建設資材製造業の譲渡側のM&Aアドバイザリー
  • 建設工事業の譲渡側・譲受側のM&Aアドバイザリー
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