M&A情報
譲渡時に起こるトラブル集
2021.06.01
M&Aにはトラブルが付き物です。トラブルは突発的に起こるように見えて、実はディールの初めから起こる小さな綻びや不満が積もり積もって、ある時一気に噴き出す場合が多いのです。不安な点はその時点で解消していくことがトラブルを防ぐポイントといえます。ここでは、M&Aを進めていく際のトラブル集を記載致します。
譲渡時におけるトラブル①
デューデリジェンス(DD)時に起こるトラブルの事例
デューデリジェンス(DD)の際に起こりうるトラブルを一部ご紹介します。
1.株主が不明(既に故人になっていたり、経営者が知らない人物になってる場合)
2.株券が不足している(株券発行会社に特有の問題)
3.オーナーや個人と会社間での契約書が不十分(これまで口約束で進めてきた場合)
その他、DDで会計処理の仕方等、例を挙げるときりがありません。
重要な事はトラブルをどのように契約書で担保できるかです。ぜひアドバイザーや弁護士等に相談し、トラブルへの対策を考えてみてはいかがでしょうか。
とはいえ、M&Aは詰まるところ大半が株式の売買のため、「株の行方」はしっかり確認するべきでしょう。
譲渡時におけるトラブル②
契約から引き渡し(クロージング)まで
譲渡契約締結から引き渡しまでにもいくつか越えなければならないハードルがあります。
1.株がまとまらない
2.会社の資産を過度に使用した
3.固定資産の処分等、クロージング要項に明記した実施事項を期限までに実行できなかった
契約締結日より譲渡契約書の効力が発効されるため、事前に契約書を確認し、実施してはいけない項目と期日までに実施すべき項目を明確にして実行する必要があります。譲渡契約書を締結して一安心ではなく、引き渡すまでは責任をもって会社を見る必要があります。それを怠ると買い手側はM&Aを破棄する可能性すらありますので、注意しましょう。
トピックス:M&A前、M&A後に起こりがちなトラブル
本編ではDD時、M&Aの譲渡時に買い手側企業との間に起こりがちなトラブルをご紹介しましたが、それ以外のタイミングで、思いもよらない方向からトラブルが発生することもあります。
ここではそんなトラブルを一部紹介します。
●事前の情報漏洩
M&Aの情報は細心の注意を以て、事前に漏れることが無いようにしましょう。万が一事前に漏れてしまったら、少なからず社内の混乱は避けられません。「この会社の経営は大丈夫なのか?!」と慌てた社員が大量離職、というのも実際に起こった話です。決して社内の人間に知られないよう、書類やスケジュールの管理に細心の注意を払いましょう。
●簿外債務の発覚
トラブルとして表出するのはM&A交渉中ですが、これは事前に防げる項目です。
特に交渉やDD中等に発覚した場合、信頼が一気に下がり、場合によっては破談となることもあります。
M&Aを検討している段階で、社内の管理や債務を今一度見直しておきましょう。
●売り手側企業の従業員・取引先の離反
M&A締結後、取引先企業からの契約破棄や社員の大量離職が発生する場合があります。特に人情込みの取引が多かった企業、経営者のカリスマで成立していた企業、離反の旗振り役になりそうな社員がいる場合に起こるケースが多くなります。こうなるとシナジー効果どころか、これまでの事業継続も立ち行かなくなる場合もあります。
また、無理な統合施策を進めた結果、社員の大量離職が発生するケースもあります。これはM&A以前の問題ですが、企業文化の違いや理念の違いも汲んだうえで、徐々に一本化を進めていきましょう。
タナベ経営ではM&A後の事業統合(PMI)もサポートさせて頂いております。宜しければ合わせてご検討ください。
文岩 繁紀
M&Aコンサルティング事業部
ゼネラルマネジャー
金融機関を対象とした経営セミナー運営や、従業員教育支援を経験。M&A部門立ち上げに伴って、M&A部門へ異動。
M&Aアドバイザーとして活躍し、数十件の成約実績を積み、現在に至る。
譲受企業、譲渡企業それぞれの心情を理解し、クライアントに寄り添ったアドバイスを得意としている。
- 主な実績
-
- 建設業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- サービス業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 人材派遣業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 小売り卸業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- IT会社の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 医薬関連会社の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 運送業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 旅行業の譲渡側M&Aアドバイザリー
- 製造業の譲渡側M&Aアドバイザリー
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